800mのトレーニング【コツ、メニュー】

エキスパート

あなたは、「800m」という種目に挑戦したことがありますか?

800mではスピードや持久力が必要とされ、陸上の格闘技とも言われるほど激しい種目でもあります。

  • 800mに必要なトレーニングは何ですか?
  • 速く走るためのコツはありますか?
  • 具体的なトレーニングメニューを教えてください

この記事では、こんな質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいけば、皆さんにも800mという種目の面白さを実感してもらえるはずです。

さあ、トレーニング方法を学び、ランニングを楽しんでいきましょう!

800mのトレーニング

中距離種目(800m~3000m)では、有酸素能力と無酸素能力をバランス良く高める必要があります。

このスピードと持久力のバランスが最も高いレベルで求められるのが、800mという種目です。

まずは、いろんな視点から800mという競技の特性を見ていきましょう!

エネルギー寄与率

800mにおけるエネルギー寄与率は、有酸素と無酸素が6:4の割合であると言われています。

つまり、レース中の大半は有酸素運動をしており、持久力が必要だということです。

もちろん残り4割は無酸素運動なので、スピードも重要なことがわかりますね。

これらのことを踏まえたうえで、重要となるトレーニングをまとめておきましょう!

重要なトレーニング

  • スピードトレーニング
  • 持久系トレーニング
  • 筋力トレーニング(サーキットや補強)

あとは、有酸素と無酸素が6:4の割合になるように、これらのトレーニングをバランス良く取り入れていきましょう!

レースから学ぶトレーニング方法

先ほど800nのエネルギー寄与率は、有酸素と無酸素が6:4の割合という話でしたね。

これは捉え方によっては、最初の1周目がスピードで、2周目が持久力という考え方もできます。

もちろん実際はそんな単純な話ではありませんが、800mのレースでよくある例を挙げてみましょう。

  • 1周目からスピードについていけず、集団から離れてしまう。
  • 1周目は頑張って集団についたが、2周目で足が止まる。
  • 最後まで集団についていったが、ラストスパートで切り替えられない。

このような例に当てはまった人は、自分に必要なトレーニングが何かを考えてみてください。

スピードが足りないのか、持久力が足りないのか、きちんと分析してトレーニングに取り組みましょう。

これらの課題を克服するためには、以下の順序でトレーニングに励むのがオススメです!

オススメのトレーニング順序

  1. 目標ペースで余裕をもって走れるスピードをつける
  2. スピードを持続できる持久力をつける
  3. レース展開や位置取りなどの経験を積む

試合に必要な能力を身につけるためには、段階的にトレーニングを計画していく必要があります。

まずはスピードを高め、それを維持する力をつけ、レースで経験を積みましょう!

800mに限らないことですが、勝つために重要なのは、最後までいかに余力を残せるか。

スピードを維持したり、最後に切り替えたりすることができるのも余力があるからです。

タイムを狙う場合も、その余裕をもてるスピードを高めることを大事にしてください。

トレーニングメニュー例

これから紹介する800mのトレーニングメニューは、800mの選手やスピードを育成したい長距離選手を対象としています。

ただし、既にトレーニングを継続している人週間走行距離は50km程度)向けのメニューですので、注意してください。

以下で紹介するメニューは自分の状況に合わせてトレーニング量を変化させたり、日程をスライドさせたりしても問題ありません。

運動経験がない方は【No.251 初級メニュー】【No.252 中級メニュー】から始めてみることをオススメします。

① 導入段階

導入段階では、中距離に必要な基礎体力をつけることを目的にしています。

まずは、以下のメニューを基本として考えてください。(週間走行距離は50km程度の場合)

メニュー例

曜日(時間)メニュー備考強度
月(2h)40jog+WS×10スピード☆☆☆
火(1h)jog+補強筋力トレ
水(2h)10kmp+WS×5ペース走(Eペース)☆☆
木(1h)jog+補強筋力トレ
金(2h)40jog+WS×10スピード☆☆☆
土(3h)60jog+WS×5ロングラン☆☆
日(0h)off休養日

メニューのポイント

jogまたはペース走(Eペース)で有酸素能力のベースをつくる。
 → ペース走は週1回程度で十分です。その他はjogで動きの改善を優先しましょう!
WSでスピードのベースをつくる
 → できるだけ5本以上おこないます。スピードを上げることより、動きの改善を優先しましょう!
週に3回程度、筋力トレーニング(補強運動)をおこなう
 → 腕立て、腹筋、背筋で十分ですが、いろんな動きのトレーニングに幅広く挑戦しましょう!

有酸素能力を重視する日と、スピードを重視する日を意識して分けると、メリハリがついて良いでしょう。

② 基礎形成期

基礎形成期では、中距離に必要なスピードの質を上げていくことが目的です。

次は、以下のメニューに取り組みましょう。週間走行距離は50km程度の場合)

メニュー例

曜日(時間)メニュー備考強度
月(2h)200×8~12スピード(Rペース)☆☆☆
火(1h)jog+補強筋力トレ
水(2h)10kmp+WS×5ペース走(E~Mペース)☆☆
木(1h)jog+補強筋力トレ
金(2h)400×4~6スピード(Rペース)☆☆☆
土(3h)60jog+WS×5ロングラン☆☆
日(0h)off休養日

メニューのポイント

週2回インターバル(Rペース)でスピードの質を上げる。
 → スピードを重視する日を、Rペースのインターバルに置き換えましょう!
jogまたはペース走(E~Mペース)で有酸素能力の質を上げる。
 → ペース走は週1回おこないます。その他はjogで動きの改善を優先しましょう!
週に何度か筋力トレーニング(補強運動)を継続する
 → できる範囲でjogと補強の量をキープする意識をもちましょう!

インターバル(Rペース)の距離は200~600mで、合計1600~2400m程度になるような本数にしましょう。

③ 試合移行期

試合移行期では、レースのスピードや距離に慣れ、スピードを維持する力を磨いていくことが目的です。

試合の2ヶ月前程度から、以下のメニューに取り組みましょう。(週間走行距離は50km程度の場合)

メニュー例

曜日(時間)メニュー備考強度
月(2h)400×4~8スピード(R~FRペース)☆☆☆
火(1h)jog+補強筋力トレ
水(2h)5~10kmp+WS×5ペース走(E~Tペース)☆☆
木(1h)jog+補強筋力トレ
金(2h)1000×4~5インターバル(Iペース)☆☆☆
土(3h)60jog+WS×5ロングラン☆☆
日(0h)off休養日

メニューのポイント

週1回インターバル(R~FRペース)でスピードの質を上げる。
 → Rペースのインターバルの日に、FRペースも組み込んでいきましょう!
週1回インターバル(Iペース)でスピードを維持する力を磨く。
 → スピード強化の日のどちらかをインターバル(Iペース)に置き換えましょう!
jogまたはペース走(E~Tペース)で有酸素能力質を上げる
 → 週1回のペース走にMペースやTペースも組み込んでいきましょう!

インターバル(Iペース)の距離は800~1200mで、合計3200~4800m程度になるようにします。

試合移行期は全てのトレーニング期間で最も練習負荷が高いため、身体のケアを念入りにおこないましょう

④ 試合期

試合期では、スピードの質を維持しながら、疲労を抜いていくことが目的です。

試合直前には、以下のメニューに取り組みましょう。(週間走行距離は50km程度の場合)

メニュー例

曜日(時間)メニュー備考強度
月(2h)600×3スピード(FRペース)☆☆☆
火(1h)jog+補強筋力トレ
水(2h)60jog+WS×5ペース走☆☆
木(1h)jog+補強筋力トレ
金(2h)1600×3+200×6インターバル(T+Rペース)☆☆☆
土(3h)60jog+WS×5ロングラン☆☆
日(0h)off休養日

メニューのポイント

週1回インターバル(FRペース)でスピードの質を上げる。
 → インターバルの割合のほとんどを、FRペースにしていきましょう!
週1回インターバル(Tペース)でスピードを維持する力を磨く。
 → インターバル(Iペース)をインターバル(Tペース)に置き換えましょう!
jogまたはペース走(E~Tペース)で有酸素能力の質を維持する。
 → 週1回のペース走を継続し、走行距離や不足している要素を補いましょう!

インターバル(FRペース)のレストは、いつもの1.5倍程度にした方が良いでしょう。

インターバル(Tペース)の距離は1600m程度で、合計3200~4800m程度になるようにします。

試合期では、レースのリハーサルをおこなうことが目的ですので、練習量を増やしすぎないようにしましょう!

メニューの注意事項

上記の練習メニューを実施するにあたっては、以下の点に注意してくださいね。

3〜4週間は、同じ強度の練習を続ける

先ほど紹介したメニューでは、導入段階から試合期までの4つの期間がありましたが、それぞれのメニューを3〜4週間は継続するようにしてください。

なぜなら、それぞれの練習に身体が適応し始めるのには、最低でも1ヶ月程度かかるからです。

また、練習の量や質を急に増やしたりすると、疲労が溜まりやすく、怪我のリスクも増えます。

無理なく確実に成果を得るためには、3〜4週間は継続することで、徐々に身体を慣らしていくのがオススメです。

週間走行距離に応じたトレーニング量にする

先ほど紹介したメニューは、週間走行距離に応じたトレーニング量になっています。

より上のレベルを目指すためには、質を維持して量を増やすことが基本です。

つまり、設定タイムは維持しつつ、本数を増やし、jogの時間も増やしましょう。

質は自然と上がっていくようにメニューが構成されていますので、無理に上げる必要はありません。

トレーニングペースはVDOTを基準にする

それぞれのメニューのペース設定はVDOTを基にしたトレーニング強度になっています。

ただし、800mより長い距離に慣れてない人は、まず以下の表を参考にしてみて下さい。

現在のタイムFR(200m)R(400m)I(1km)T(1km)E(1km)
1:4526602:533:154:00
2:0030683:133:354:20
2:1534763:313:544:40
2:3037833:514:135:00
2:4541904:084:305:20
3:0045984:284:505:40

自分のVDOTを知りたい場合は、アプリ版がオススメです!

興味のある方は、以下のリンクから紹介記事を読んでみてくださいね。

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