Scissors Method(はさみうち方式)とは?
Scissors Method(はさみうち方式)とは、長距離走の記録向上に有効なトレーニング方法として、私が名付けた独自の手法です。
もちろん多くの著書やトレーニング文献から学び、効果的な要素を抽出している部分もありますので、完全にオリジナルという訳ではありません。
特に岐阜県の名監督、平澤元章(ひらさわもとあき)先生の論文をもとに実践していく中で、このメソッドが確立されてきました。
最後にその参考文献も紹介させていただきますので、是非読んでみてくださいね。
Scissors Methodの特徴(メリット)
Scissors Methodの内容を説明する前に、その特徴やメリットをまとめておきますね。
- 考え方がシンプルでわかりやすい
- トレーニング内容に迷うことが少ない
- 成長が実感しやすい
このメソッドををまとめるにあたって一番重視したことは、「いかに単純に実践できるか」です。
考え方がシンプルであれば、あれこれ迷うことも少なく、トレーニングに集中しやすくなります。
その基本軸がしっかりしていれば、様々なトレーニングの効果や意味もわかってくるはずです。
こんな人にオススメ!
シンプルであるこのメソッドは、特にこんな人にオススメです!
- 長距離(5km~マラソン)の記録を向上させたい。
- 長距離のトレーニング方法がわからない。
- いろんな手法を試したけど、効果が実感できない。
このように「長距離の記録を向上させたいけど、トレーニング手法に迷っている人」はScissors Methodに挑戦してみましょう!
具体的な応用方法も紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
Scissors Methodの解説
まず、Scissors Methodの名前の由来となる「はさみうち方式」について解説していきます。
この「はさみうち」とは、目標とする距離を「スピード」と「持久力」の両方からアプローチするということです。
当たり前に思うかもしれませんが、この単純な方法だからこそ日々の成長が目に見えてわかりやすい訳です。
基本的なトレーニング内容
「スピード」と「持久力」への具体的なアプローチ方法も極めて単純にしました。
基本的なトレーニング内容はこの2つです。
- スピード → レペティション
- 持久力 → ペース走
つまり、この2種類の練習だけ、またはそれを中心にメニューを立てていくことになります。
「レペティション」と「ペース走」についても、トレーニングの解釈が異なるかもしれませんので、念のため確認しておいてくださいね。
基本的な考え方
実はこのメソッドで一番重要となるのが、この「基本的な考え方」をきちんと理解することです。
また、ここでようやく「スピード」と「持久力」で「はさみうち」する方法が簡潔に理解できるでしょう。
ではこのアプローチで重要となる「基本的な考え方」について、具体例で解説していきますね。
10km30分を目標とする場合
- スピード → 1km3分のペースで走れる距離を伸ばしていく
- 持久力 → 10kmを確実に走れるペースを速くしていく
このようにレースで必要なスピードを維持する力をスピード、レースの距離を走れる力を持久力と考えます。
それぞれの実施方法を簡単にまとめておきますね。
- レペティション(スピード)
- 週に1回のレペティションをおこない、3分ペースで長く走れるようにします。
最初は1km、次は2kmのように達成するたびにレペティションの距離を伸ばしていきます。
- ペース走(持久力)
- 週に1回はペース走をおこない、10kmを速く走れるようにしていきます。
最初は40分、次は39分のように、余裕をもって走れるタイムを徐々に伸ばしていきます。
さて、ここで非常にシンプルな考え方をしてみましょう!
「10kmを速く走る→10kmのタイムトライアルをする」
実はこれが最もシンプルな考え方であり、短期的に記録を伸ばすならこの方法が一番効果があります。
しかし、これだけでは長期的に記録を向上させていくことはできません。
そのため、このように「スピード」と「持久力」で「はさみうち」する考え方になる訳です。
1週間のメニュー例は、こんな感じでイメージしてくださいね。
メニュー例
曜日(時間) | メニュー | 備考 | 強度 |
---|---|---|---|
月(2h) | jog+WS | スピード | ☆☆ |
火(1h) | jog+補強 | 筋力トレ | ☆ |
水(2h) | 1km~9km | レペティション | ☆☆☆ |
木(1h) | jog+補強 | 筋力トレ | ☆ |
金(2h) | jog+WS | スピード | ☆☆ |
土(3h) | 10kmp | ペース走 | ☆☆☆ |
日(0h) | off | 休養日 |
それぞれ1週間に1回ずつおこない、それ以外の日は軽めのジョギングをするのが基本と考えましょう。
次に、これを基本として自分に合ったトレーニング内容を考えていきましょう!
自分の能力に合わせた応用例
先ほどは「10km30分を目標とする場合」を例に挙げましたが、大抵の市民ランナーにとっては現実味のないタイムだと思います。
もしこのような目標を立てる場合は、10kmを最低でも35分以内で走る力が必要です。
もしそれよりも遅い場合は、もっと段階的に目標設定をした方が良いでしょう。
そこで、ここからは競技力に合わせたアプローチの方法(目標設定)を紹介していきますので、参考にしてくださいね。
10km40分を目標とする場合
大抵の市民ランナーは、10kmのロードレースやマラソン(ハーフも含む)を目標としているかと思います。
そんな方には「10km40分」がひとつの目安となるのではないでしょうか。
このペースでそのまま走ることができたら、マラソンではサブ3も達成できますからね。
10km40分を目標とする場合
- スピード → 1km4分のペースで走れる距離を伸ばしていく
- 持久力 → 10kmを確実に走れるペースを速くしていく
先ほどの例と同じように目標を設定してみましたが、この目標に挑戦する場合は最低でも10kmを50分で走れるくらいの力は必要です。
ただし、10kmが50分以上かかる場合にも考え方を応用していけば対応できますので、心配しないでくださいね。
(インターバル)、ペース走、レペティションで意識するポイント
興味のある方はぜひ読んでみてください。
具体例
- インターバルトレーニング
レースペースに慣れる、レースペースの動きを覚える、レースペースでいかに余力を持てるか、
あくまでペース走であり、トライアルではないことも忘れないようにしてください。
参考文献
男子高校生長距離ランナーのトレーニングと取り組み ~ジョッグとペース走を中心にして~
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